中央線快速へのグリーン車導入、延期を経て2023年度末サービス開始

JR東日本は、導入開始が延期されていた中央線快速列車へのグリーン車導入について、2023年度末のサービス開始を予定していると発表しました。また、同時に普通列車へのトイレ設置についてもアナウンスされました。

中央快速線等へのグリーン車サービス開始時期および車内トイレの設置について
http://www.jreast.co.jp/press/2018/20180402.pdf

このグリーン車サービス開始により、いわゆる「通勤五方面作戦」で示された五方面全て(東海道横須賀線、総武線、常磐線、東北高崎線、中央線)にグリーン車が導入されることになります。

中距離通勤列車へのグリーン車導入は国鉄時代も古くから、グリーン車という名前がなく二等車と呼ばれていた頃から、それどころか、国鉄ができる前から、戦前から既に始まっていました。というか、三等級制時代には中央線列車にも1957年まで二等車が連結されていたそうです。

最初期から長らく普通列車グリーン車(二等車)が導入されていたのは横須賀線で、戦前から今に至るまでずっとグリーン車の流れが続いています。これは、葉山に御用邸があり別荘地としても名高く、上級座席の需要があったためです。今ではもっぱら着席通勤のためのグリーン車ですが、元をたどればそういう事情があったのです。

民営化後しばらくまで、首都圏での普通列車グリーン車は長らく東海道線と横須賀線のみという時代が続いていましたが、2004年より宇都宮線・高崎線系統の列車にもグリーン車の連結が始まっています。115系からE231系への置き換えが進んだことも理由の一つですが、恐らく一番大きな理由は湘南新宿ラインの運行開始により東海道・横須賀線との直通が始まったことによるものです。元々東海道線や横須賀線の列車はごく一部を除いて全列車にグリーン車が連結されていましたから、直通運転をする宇都宮線や高崎線にも導入しないわけにはいかなくなったというわけです(そういう意味では、横須賀線と直通している総武線にもグリーン車が連結されていることになりますね)。

しかし、JR東日本が積極的にグリーン車サービスを推し進めたからか、つい最近まで他線と直通していなかった常磐線の中距離列車にも2007年から連結されることになりました。この時点で、通常15両での運転を行っている全路線への導入が完了します。

これまで普通列車へのグリーン車が連結されている路線は、どの路線も15両の列車が運転されている路線でした。10+5両の編成のうち、基本編成の10両の方に2両グリーン車が組み込まれている形です。また、これらの編成には普通列車にも一部のみ固定クロスシートが設置されています。運行距離が長く、行楽などでの長時間乗車を考慮したものでした。

それらの路線に比べると、中央線はいささか距離が短くこれまではグリーン車を導入するほどのものでもないと考えられていました。列車は10両までですし、座席は全てロングシートであくまで通勤輸送に特化した形でした。ですが、やはり「着席通勤」というある種のジャンルが確立してきたのでしょう。ホームライナーは以前から走っていますが、グリーン車サービスも開始されることになりました。

元々大混雑する路線ですから、10両のうち2両を普通車からグリーン車に置き換えてしまってはもう積み残し確実レベルで大混雑しています。ですので、2両純増という形で12両編成になることになりました。これはなかなかの大英断だと思います。一部の特急停車駅を除きホームの長さはどの駅も10両分しかありませんから、停車する全駅でホームを伸ばす大工事をしなければなりません。しかも中央線快速の東京~高尾だけでなく青梅線の立川~青梅、更に大月まで乗り入れる列車のためにグリーン車対応のための工事などが行われます。直通する富士急行線へはグリーン車つき編成は乗り入れないようです。

そして、このグリーン車導入に合わせて普通車部分にもトイレが設置されるようです。やはりグリーン車にはこれまでもトイレがついているのが当たり前でした。トイレを設置するとなると、車両基地に処理装置がなければいけません。これも当然新設もしくは増設することになります。どうせ処理装置を作るなら、普通列車にもトイレがあった方が便利だろう、ということのようです。

さて、グリーン車が連結されるとなると、気になるのは車両運用です。現在、早朝深夜には快速線用のE233系は緩行線にも乗り入れています。日中、水道橋、飯田橋、市ヶ谷、信濃町、千駄ヶ谷、代々木、大久保、東中野の各駅にはオレンジ色のE233系はとまりません。また、四ッ谷、新宿、中野、高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪、吉祥寺、三鷹の各駅についても緩行線と快速線はホームが分かれています。今まで通りE233系を使うとなると、当然これらの駅もホームを伸ばさなければいけません。また、グリーン券を発売する券売機なども設置しなければならなくなります。さすがにそこまでのことはやらないでしょう。するとどういうことが起きるかというと、緩行線でのE233系運用がなくなるということです。逆に、早朝深夜には東京駅や三鷹~高尾で緩行線用の黄色のE231系が見られるようになるかもしれません。

しかしその一方で、長期的にはホームドアを導入することも発表されています。当然、グリーン車と普通車ではドアの数や位置が異なります。三鷹~高尾の各駅のホームドアを導入してしまうと、逆にグリーン車のないE231系ではドア位置が合わなくなります。グリーン車停車位置へのホームドア設置については、まず真っ先に総武線快速の新小岩で実証されるでしょうから、今後どういった対策がとられるか非常に気になるところです。車両運用を限定するのか、はたまた可動式ホーム柵ではなくロープタイプになるのか……。

そうそう、ドアといえば、グリーン車のドアがこれまで片開式の一枚扉だったものが、両開き式の二枚扉になるようです。普通列車グリーン車としては初の試みです。これでどの程度乗降時間短縮に貢献できるのかは分かりませんが、中央線では1秒2秒の停車時間ですら惜しいのでしょう。現状、朝ラッシュ時には2分に1本程度列車が発着しますが、グリーン車導入によって10両から12両に編成が伸びると、運行間隔も少し拡げなければならなくなります。できるだけ運行間隔を詰めたいところでしょうから、少しでも乗降時間を短縮したいという思いが見えてきますね。

2023年度末ということは、2024年3月のダイヤ改正になるでしょうからまだあと6年かかります。その頃には中央線以外に様々な路線で変化が起こっている頃でしょうから、取り巻く環境も今と同じというわけにはいかなくなるでしょう。まだまだ先の長い話ですが、中央線のグリーン車導入決定より後から発表された、並行する京王線も2月から座席指定列車の「京王ライナー」が早くも運行を開始してしまいましたし、本当のところはあまり悠長なことを言っていられないのかもしれません。

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