2008年の三木鉄道・島原鉄道の廃止時以来、廃止や転換が決まった駅はなくなる前に全て訪れています。2018年3月のダイヤ改正でまた北海道から駅が姿を消すことになったので、行ってきました。
2016年に8駅、2017年に10駅も廃止された北海道ですが(留萌本線は別)、今年2018年は1駅だけの廃止で済みました。といっても、素直に喜べるものではありません。そもそもなくならないのが一番なのですから……。それに、ダイヤ改正のプレスリリースでは「利用者の少ない駅の廃止を進めています」と書かれていました。当然来年以降、2019年、2020年も引き続き駅が廃止されていくでしょう。
とはいえ、「廃止されない」という選択肢はもはやありえませんし、廃止が決まると訪問すると決めている以上、1駅で済むのは行程づくりにはありがたいことです。1駅だけなので去年や一昨年のように直接写真集にすることはないと思いますが。ということで、1泊2日の短い行程で行ってきました。なんなら日帰りでも行けたんですけどね。
1月14日、JALを利用して羽田空港から帯広への最初の便で飛びました。この日程にした理由なのですが、写真を撮るという大きな目的があるのでなるべくほかに人が行きそうにない日を選ぶということになります。なので、青春18きっぷや北海道&東日本パスが使えない1月11日以降にすることにしました。今回は1駅だけでしかもそう遠くないところにやはり廃止される石勝線の夕張支線があるので期間内ですとそれなりに人が訪れていたことでしょう。それで、新千歳空港から出入することや、帯広か新千歳のどちらかから入ってどちらかから出ていくことも考えたのですが、単純に帯広から往復することにしました。というのも、昼間の駅の様子だけでなく夜の様子も見ておきたかったので、1日目は夜に行き、2日目は昼に行き、という形で帯広から2往復することにしたのです。宿や去年も利用した帯広の東横インにしました。
で、その東横インが日曜日が一番安く直前でも予約が取りやすいので日曜日と月曜日の行程にしたのです。もう一つ、一番重要だった点なのですが、写真に納める以上天気の良い日に行きたかったということがあります。去年も一昨年も、運良く全体的に天気に恵まれて良い写真を撮ることができたのですが、毎年毎年そう幸運が続くとは限りません。なので、候補を最初からいくつか決めておいて、直前の天気予報が良ければ出発、悪ければ次週に持ち越し、ということにしていたのです。が、最初に決めていた14日、15日の天気が悪くなさそうだったのでそのまま出発しました。
今回、金がなかったということもありますが、往復の航空券はJALのマイルで無料の特典航空券に交換してとりました。普通に買える安い運賃だと、航空券の変更や取消ができない、もしくはかなり高い手数料を取られるのですが、マイル交換の特典航空券であれば自由に日程を変更することができます。貯めていたマイルを使ったのもこれが大きな理由です。
さて、帯広に到着してからですが、それでも1駅の訪問に丸2日かけるのは時間が多すぎるくらいなので、ちょっと寄り道をしました。どこに行ったかというと、帯広空港から程近いところにある廃止された広尾線の幸福駅です。高いバス代を払いたくなかったのでけちって歩いて行ったのですが、やっぱり思っていた通り遠かったですね。1時間以上はかかったと思います。まぁ、雪道でなくて荷物が軽ければそんなにしんどい距離ではないとは思いますが。
本当は愛国駅の方も見たかったのですが、幸福駅まで歩くだけで結構時間がかかってしまったので今回は幸福駅だけ見てきました。感動したのはキハ22の実物車体が2両も置かれていたこと!このキハ22形を含む20系気動車、実際に乗ったのは52形でしかも2回しかない(岩泉線と大糸線)のですが、見た目からしても本当に好きなんですよね。出会えて良かったです。もちろん、本当なら現役で動いているときに乗りたかったのですが……。広尾線もね。
外装は何度か塗り直されているようでしたが、内装はそこまで凄くきれいというわけではありませんでした。いくつかのドアや窓、機器などは動かないように固定されているのですが、それでもタブレットキャッチャーや運転台にあった逆転器なんかを動かせたことにも感動しました。
そして、バスで帯広駅へ行き、ホテルに先にチェックインして荷を軽くしてから夜の羽帯駅へ。私が降りたときに、地元の人が降りていきました。3月に廃止されたあとはどうするのかなぁ……。
当たり前ですけど凄く寒いんですねこれが!去年の稲士別での反省を踏まえて厚手の靴下にカイロまで入れてましたけど、そんなもん関係ないぐらい冷たかったです。何も対策してなければそれはもう悲惨なことになっていたでしょう。で、この羽帯に来るために降りた列車、上下列車合わせて完全にその日最後になる最終列車だったんですね。なので、隣りの御影駅まで歩いて帯広まで戻りました。街灯もない夜の雪まみれの道を歩くのはけっこう危険ですよ。誰も歩いてないですけど、自動車だけはもうひっきりなしに通っています。本当に、この自動車に乗ってる人や貨物が全部鉄道を利用していたら駅はなくならないのに……と毎度思ってしまいます。
羽帯では最終列車が行ってしまっていても、多くの普通列車は羽帯を通過してしまうだけなので隣りの御影に来ればまだまだ列車はあるんですね。帯広に戻り、翌日また羽帯に来ました。このときは昨日に比べてあまり寒くなくなっていました(それでも気温はマイナスですけど)。ただ、ちょうど着いたときからだんだん曇ってきて、去る頃にはかなり雪が降っていました。このときは、来るときの列車が羽帯通過だったので、一度通り過ぎて十勝清水まで行ってから戻ってきました。「駅訪問は来るときも去るときも両方列車を利用して達成したと認める」ことにしているので、昨日の徒歩での帰りは認めず、このとき初めて乗下車を達成しました。
実は十勝清水に行くとき通過する羽帯駅を見ていたのですが、駅に車がとめられていました。誰かが訪問していたのだと思いますが、戻ってきたときには既に去っていたので助かりました。こんな平日でも誰かしら来ているんですね。ちなみに、駅にある踏切はそこそこ自動車の通行量があり、誰もいない駅で雪の中写真を撮っているとだいぶ不思議がられていたと思います。
というわけで無事に羽帯の訪問を達成できたのですが、割りと前から印象があった駅がなくなるのはやはり素直には受け入れられないというか、信じられませんね。最初に北海道を鉄道旅行したのが中学2年生のとき、2007年で今からもう10年半も前なのですが、そのとき石勝線を通って根室まで行きました。そんな中、当時の私には「普通列車が通過する駅」が珍しかったので、羽帯駅のことはよく覚えています。もう一つ、古瀬という駅もあるのですが、そちらはまだかろうじて生き残っています。古瀬も正直なところいつ廃止されてもおかしくないのですが、それが来年になるのか再来年になるのか、それはまだ分かりません。今後も北海道からどの駅が廃止されていくのか、全てが廃止され切ってしまうまではまだまだ目を離せません。