ちょうど1年前のこと。
翌日から海外旅行に行くというのに、風邪を引いてしまった私。喉の痛みもありますし、飛行機の中は乾燥しやすく長時間乗っているとますます悪化しかねません。このときは787型機を利用したので従来機よりは比較的気圧による影響がましらしいのですが、そんなこと言ってる余裕なんてなく、どうにかしないと行った先で倒れるかもしれません。
インフルエンザならともかく、いつも普通の風邪のときは市販の薬だけで治すのですが、さっさと治したいなら病院に行って病院で処方される薬を飲むのが最善。ほんと、病院と一類医薬品の効果って絶大なんですよね。家で寝てるだけでは時間のかかる治療もあっという間に回復!そして、吸入器があるというのも病院にかかる理由の一つです。あれを使うだけで喉の痛みはもう治ったような気分になります(気分だけ)。
というわけで、病院にかかったあとその日の深夜に出る飛行機に乗るため準備していたのですが、途中で異変に気が付きます。
「あれ……パソコンの音なんかおかしくね?」
パソコンから流れてくる音楽が、妙に変に聞こえるのです。音程が変というか、曲がいつもより少し低い感じに聞こえるのです。
「おいおい……これから1週間ばかり家空けるってのにこんなときに壊れるのやめてくれよ……」と落胆していたのですが、どこがおかしいのか確認してみても、何も壊れていなかったのです。まずスピーカーが壊れているのかと思いイヤホンに切り換えてみても音は変なまま、本体の設定も特に変えられた様子はありません。そこでiPhoneから音楽を流してみたのですが、やはり微妙に音程がおかしい!おいおい、iPhoneまで壊れたのかよ!どうしよう!!!それともやっぱりイヤホンがおかしいのか!?
謎は深まるばかり。そこで、iPhoneの音叉アプリを起動して440Hzを出してみたのですが、特におかしな様子はなく、いつも通りの音が聞こえました。でも、曲を流してみるとやっぱり微妙に低い……。
会話の音や自然音、音叉の音は普通なのに、なぜか曲だけは低く聞こえる。しかもパソコンもiPhoneも壊れてはいない(はず)。だとしたら壊れているものはただ一つ。
「俺の耳が壊れたのか!?」
だとすると大変です。風邪どころでは済まなくなりますし、海外旅行なんて中止にしなければいけません。うわぁ……。やばい、何やった、なんか怪我したか、変なものでも食べたか……あっ!変なもの食べた!!!
これを食べてました。風邪薬です。けれどフロモックスはこれまでも処方されたことがありますし、そのときは特にかわったことはありませんでした。だとすると、今回初めてもらった薬が悪さをしてるはず……。そこで「薬 音 低い」と検索してみると、やはりありました。奴の名は「フラベリック」。このフラベリック錠とやらが私の耳に悪さをしていたのです。正確には耳というよりも、聴覚神経に悪さをしていたのかもしれませんが。フラベリックは咳止めの薬らしいのですが、副作用として「音が低く聞こえる」というのです。これは大問題です。風邪薬飲んで眠たくなるとかそういうレベルではありません。しかも2週間程度続くというではありませんか!やばい!旅行期間中どころか帰ってきてもずっと低いままじゃないか!
人によって聞こえ方の程度は多少変わるみたいですが、私は4分の1音から8分の1音ほど低く聞こえていたように思います。なんならいっそ半音低く聞こえてくれた方がすっきりするのですが、中途半端に音がずれていたせいで曲が変に聞こえていたのでした。そして旅に出て空港に向かうため最寄り駅から山手線に乗ったときのこと。
「うわ!発車メロディが変に聞こえる!てかドアチャイムもおかしい!」
おかしくなったのはスピーカーじゃなくて自分の耳だとはっきり自覚した瞬間でした。なんというか、周りの人には普通に聞こえているはずなのに自分だけ妙な耳になって、世界から取り残されているような気分でした。うえ~ん、海外のアナウンスが全部変な音に聞こえちゃうよ~、また行かないとなぁ……。とか思っていたら、意外とすぐに治りました。旅行中割と早めに風邪自体は治ったのですが、薬を飲まなくなって副作用も出なくなりました。良かった……。
私のような一般人ならともかく、音楽をやっている人は仕事に支障をきたしかねないので本当に要注意!といっても病院でわざわざ教えてくれるわけではないので、大半の人は処方されて飲んで変になったことに気が付いて調べてやっと「こいつのせいか!!!」となると思います。もしかしたら今このページを見ている人も、そういう人かもしれませんね。広まるといいなぁ……。まぁ、1回目は失敗して良い経験になって、それで2回目以降対策できればいいのかもしれませんが、どうぞお大事に。