銀座線への1000系投入から早7年、ようやく丸ノ内線にも新型車両が投入されます。
丸ノ内線新型車両2000系を導入します
http://www.tokyometro.jp/news/2018/191831.html
東京メトロは、2019年2月より丸ノ内線の新型車両「2000系」の営業を開始すると発表しました。東京メトロは現在各線での車両置き換えを進めています。千代田線の6000系も16000系の増備によってもうあとわずかになっていますし、銀座線もつい昨年01系から1000系への置き換えが完了しました。また日比谷線では直通先の東武線ともどもまさに今総とっかえ中という感じで18メートル級3ドア(5ドア)車両から20メートル級4ドア車両への新造・置き換えが進んでいます。そしてようやく、丸ノ内線にも新車投入の番が回ってきました。
銀座線の01系もそうでしたが、今丸ノ内線を走っている02系はそれほど古さを感じさせません。車両更新が行われたからというのは大きいですが、実は最初の車両が営業を開始してから今年でもう30年になるんですね。30年で置き換えというのは鉄道車両としてはごく標準的な年数ですから、意外と古かったんだなぁと思い知らされます。
新型車両2000系は来年2019年2月より運行を開始し、2022年度までに53編成318両を投入する計画だといいます。この53編成という数字は現在所属している6両編成の02系とまったく数が同じですから、完全に置き換えてしまうことになります。銀座線での置き換えが足掛け5年ばかりかかったことを思うと、ずいぶんと早いペースになることが伺えます。
そしてなによりも気になるのが、方南町支線。丸ノ内線には車庫への回送線を兼ねた方南町支線が中野坂上から分岐していますが、終点の方南町駅だけホームの長さが短く、線内では3両編成の02系がピストン運行をしています。ラッシュ時には本線から6両編成が運用されていますが、一つ手前の中野富士見町までの運行で、方南町へは行かず車庫へ入ります。そんな方南町駅のホームを延伸して6両に対応できるようにするための工事が現在行われています。この工事は2019年度末、つまり2020年に完成する予定となっています。完成した暁には方南町まで6両編成が入れるようになり、本線との直通が実施される運びです。支線内折り返し運行も残るでしょうが、今新宿止まりとなっている列車が方南町まで延ばされることが考えられます(今のダイヤでは新宿止まりは1時間に3本)。
現在は6両編成53本のほかに、支線専用として3両編成6本が別に所属しています。支線も含めて全列車6両に統一され共通運用化されたとしても、予備車が共通化されますがさすがに53編成のままでは足りなくなります。しかしプレスリリースでは単に「2022年度までに53編成を投入する」と書かれているだけであり、それで終わりかどうかは言及されていません。支線用の02系は見た目からしてもかなり古さが目立ちますから、ホーム延伸工事の完成と前後して更に2000系が増備されるものだとみています。
02系は初期車から置き換えられていくことになるでしょうが、もしかすると方南町支線との兼ね合いで数編成だけ残されることになるかもしれません。ただ、リリース内容によればCBTCという無線式列車制御システムを2022年度より稼働させたいとしています。最初は試験運用から始められるようですが、CBTCに対応していない02系は遠くないうちに置き換えられてしまうことになるでしょう。
さて、新型車両の特徴を見てみると、なんといっても車内に充電用コンセントが設置されていることが挙げられます。もちろん東京メトロとしては初ですが、ロングシートが主体の通勤車両としてもほとんど前例はないのではないでしょうか。コンセントが使える車両自体は西武の40000系がSライナーとしてメトロにも乗り入れしていますが。ロシアの首都を走るモスクワメトロの新型車両も充電用の差込口(コンセントではなくUSB用の差込口)があるんですが、車両の見た目からしても結構似ていますね。
その見た目ですが、1000系と同じく車両の側面全部が塗装された状態となっています。せっかく塗装が不要な素材を使用しているのですから無理に塗るのはもったいない……と思ってしまいますが。とはいえ最近の車両塗装はじかに塗料を塗っているわけではなく、カラーフィルムを貼っているだけなので塗装にかかるコストやメンテナンスは塗料を使用するときよりは抑えられるようです。そして、丸ノ内線定番のサインカーブ(正弦波)。最初見たときは「あれっ、またなくなっちゃった!?」と思ったのですが、よく見たら上部にありました。これはまた今までにはないパターンです。
ところで、大阪で生まれ育った私として、気になるのはドアの数。1両につき片側3ドアとなっています。通勤車両ではドア数が多くて当たり前なのですが、JR線などの車両が1両20メートルなのに対して丸ノ内線車両は初期に建設された地下鉄だということもあって1両18メートル。そのためドア数が少なく3ドアなのです。……と言いたいところなのですが、実は大阪の地下鉄は18メートルでも4ドアを実現しているのです。大動脈として知られている御堂筋線のほか、谷町線、四つ橋線、中央線、千日前線、いずれも18メートル4ドア車両で運転しています。小型トンネル断面の長堀鶴見緑地線と今里筋線、そして阪急と直通する堺筋線は例外で、堺筋線は20メートル級車両ですが3ドアです。
御堂筋線は10両で走っているのに対し丸ノ内線は6両しかありませんが、だからといって利用者が少ないわけではありません。まして首都を走る地下鉄なわけですし、いくらJR線やほかの地下鉄線があるとはいえ混雑は到底避けられません。私も丸ノ内線はよく利用しますが、ラッシュ時にはあまり乗りたくないほど混んでいます。両数を増やすことができなくてもせめてドアが4ドアになれば……と思ってしまうのですが、ホームドアが設置されてしまった以上今更4ドア車両を投入することもできないでしょう。
銀座線の車両が更新されては、追いかけるように丸ノ内線も置き換え始める。山手線と京浜東北線も似たような関係ですね。次の世代を支える車両になることを期待します。