2019年より桜井・和歌山線に227系を投入、105系を置き換え

ついにあのぼろぼろ車両も置き換えに……。

和歌山線・桜井線への新型車両導入と車載型IC改札機を使用したICOCAエリア拡大について
http://www.westjr.co.jp/press/article/2018/03/page_12012.html

JR西日本は、桜井線・和歌山線に新型車両「227系」を投入し、現在走行している105系および117系を置き換えると発表しました。2019年より運行を開始し、導入が完了する2020年より車載型IC改札によるICOCAへの対応を行うといいます。

現在桜井線、和歌山線で使用している車両のうち、主力の105系は非常に古くすでにだいぶぼろぼろの車両です。105系には2タイプあり、新造された3ドア車両のものと103系から改造された4ドア車両のものがあります。このうち桜井・和歌山線で使用しているのは103系から改造された4ドアのもので、新造された車両に比べるとだいぶ車齢が高いのです。国鉄時代、かつては常磐緩行線で使用されていた103系を改造したものでした。2018年時点で、改造からも既に34年が経過しています。

こちらがその車両。幌を隠してみれば103系の面影がはっきりとわかるでしょう(常磐緩行線で使用していた103系は地下鉄乗り入れのため普通の103系と違いもともと非常用の貫通路がありましたが、幌はありませんでした)。

一方、同じ105系4ドア車でも見た目の違う車両があります。

こちらがその車両。103系の中間車両モハを改造したもので、もともとは運転台がなかったため改造の際新たに取り付けられています。この改造運転台は新造105系と同様のものとなっています。

桜井線や和歌山線はもともと線路規格が低く乗り心地が悪いのですが、105系は103系由来のコイルばね台車で今も走っているので非常に揺れます。一方同線を走るほかの車両、117系や221系は座席がクロスシートであることもあって105系に比べるとだいぶましになっています。

私は阪和線沿線に住んでいたもので、時々いわゆる「大回り乗車」をしていたのですが、阪和線を大回り乗車の範囲に含めると必然的に和歌山線にも乗らなければならなくなります。というわけで和歌山線にも何度も乗ってきたのですが、長時間105系のロングシートに揺られるのは決して楽しいものではありませんでした。

しかし、来年2019年からいよいよ新型車両が走り始めます。広島地区に227系が投入されることが発表されたとき、桜井・和歌山線にも同型車がいずれ投入されるのではないかと思ってはいましたが、ようやくそのときが来ることになりました。

広島のものと同様、現在のJR西日本の新車で標準装備している前面転落防止幌が取り付けられますが、広島で「レッドウイング」と呼ばれているこの幌の部分も含めて全体的に濃い緑色で塗装されています。景色に溶け込んでしまう色ですが、もともとステンレスの銀色の部分が多いので視認上の問題は特にないのでしょう。

そして気になるのが、車載型IC改札を導入するという点。もうずいぶんと前に加古川線で試験していたらしいのですが、関西地区ではようやく導入されることになります。まぁ、早い話がバスや路面電車でのICカード対応と同じ方法ですね。車内でタッチして乗り降りるときにもタッチするというだけ。問題はチャージでしょうか。降りるときに車内でチャージができればいいのですが……。JR西日本の場合、チャージ額が初乗り運賃に満たず0円であったとしても入場はできるので、降りるときにチャージができれば駅にチャージ機が設置されずとも特に問題はないでしょう。

ややこしいのは、227系が走る区間であっても全部が車載ICで対応するわけではないという点。桜井線や和歌山線の王寺~高田はもうすでにICOCAに対応していますし、和歌山線のうち高田~五条も今月2018年3月より使用可能となります。当然、これらの区間は駅設置のカードリーダー、簡易改札機で対応します。なので、たとえば大和二見で乗って御所で降りる場合、大和二見では車内でタッチするものの御所では駅でタッチしなければなりません。まぁ駅設置区間では車載器は使用をとめるでしょうし、車載区間でも降りる場合は運転士が見ているので問題ありませんが、車載駅で乗るときにタッチを忘れるとちょっと面倒なことになるでしょう。慣れるまでは大変でしょうね。

橋本のような大きな駅では、車載ではなく駅に改札機が設置されるかもしれませんね。かつては南海と改札を共用していましたが、今では南海側に改札が設置され分離されているようです(この春ICOCA対応する吉野口では近鉄と改札を共用しているのでちょっと使用方法が複雑です)。

当初、私は227系投入によって221系が撤退するのかと思っていました。というのも、車載型ICを導入する以上同区間を走る車両は全て搭載していなければなりません。「列車によってICカードが使えるものと使えないものがある」状況は絶対に避けなければなりませんからね。しかし、221系には車載器はありませんし、そもそもワンマン対応していません。なので撤退すると思っていました。ところが、「高田~五条は今月駅設置型で対応する」ということに気付いたので、221系の撤退はないだろうなと思い直されました。もともと221系は五条までしか乗り入れていないので、駅設置の改札があれば何の問題もありません。

ちなみに、車載型ICは2019年春より鳥取の境線での使用が始まります。境線を走る車両はいくつかありますが、キハ40とキハ126の全車に車載器が設置されるのか、それとも一部にだけ設置され運用が限定されることになるのか、気になるところです。

現在、桜井・和歌山線(および紀勢本線の和歌山市乗り入れ)用の105系は38両(2両×19本)、主にきのくに線でも使用される117系は20両配置(4両×5本)されています。合計58両ですが、227系は2両28本の合計56両が製造される予定となっています。2両少ないですが、今の運用でも余剰があるのであれば減車する必要はないのかもしれません(ぱっと調べたところ、今105系は16運用しかないので予備車を含めても余剰があるようです)。

紀伊田辺~新宮で使用される3ドアの105系ですが、検査中には4ドア車両が代走します。もしかすると、227系も代走で新宮まで乗り入れることになるかもしれません。

そして、この「227系顔」の車両ですが、もうJR西日本の各地に広まることになります。金沢地区の521系もそうですし、広島の227系、大阪環状線の323系、そして関西地区の225系もこの顔になりました。かつて223系タイプで福知山など各地の車両が置き換えられていきましたが、時代は進み227タイプがどんどん広がっていきます。225系もほとんどは227系とは違う独自タイプでしたが、新規製造車は227系と同じになりました。こうして、またJR西日本の新たな時代が進んでいきそうですね。

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