航空ファンの間で騒がれがちなアリタリアが、ANAとの提携を開始するようです。私はアリタリア好きなのですが……(乗ったことはまだないけど)。
ANAとアリタリア、提携へ
http://www.aviationwire.jp/archives/143999
ANAは、今冬のダイヤ改正よりイタリアの航空会社・アリタリア-イタリア航空との提携を実施すると発表しました。
現在、日本とイタリアとの直行便はアリタリア-イタリア航空のみが運行しています(実はアエロフロートが飛ばしている”設定”なのですが、あれは行先が書かれているだけで実際には乗り継ぎと何ら変わらないので……)。成田から2路線を飛ばしており、ローマ線とミラノ線があります。ローマ線は毎日運航、ミラノ線は夏期のみ毎日運航で冬期は週5便程度になります。アリタリアは航空連合としてはスカイチームに所属しているため、これまでスカイチーム所属会社がない日本では特に提携などはなされていませんでしたが、今回航空連合の枠を超えて提携が実施されることになります。
スカイチーム所属会社との提携といえば、JALが2018年度以降にアエロフロート・ロシア航空とのコードシェアなどを開始します。またJALはかつてエールフランスと提携していましたが、こちらはほぼ解消してしまいました。
イタリアといえば観光大国ですから、直行需要がないわけではありません。しかしその一方でパリやロンドンに比べるとビジネス需要は薄めですから、採算は少しとりにくくなります。ANAがコードシェアを開始することによって、日本の航空会社の便名でイタリアに直行することができます。また、イタリア国内線でのコードシェアも同時に実施することによって、ローマやミラノ以外の都市へもANA便扱いで搭乗できます。
ところで、アリタリアといえば航空好きの間ではなにかとお騒がせな航空会社として知られています。というか、お騒がせ以前にそもそも経営破綻しています。我らがJALも破綻しましたが、今のアリタリアは実質「破産したまま飛ばしている」状態です。まぁなんというか、イタリア人気質らしいところがあるという感じでしょうか、これまでいくつか他国の会社が支援してきましたが、必ずしもうまくはいっていないようです。今回のANAとの提携に関しても、わざわざ出資はしないと明言しているくらいです。出資すると言ってしまえば、投資家にとってはマイナス要素になってしまうでしょう。
まぁ私の個人的な見解としては、大国のフラッグキャリアが消えるはずがない(と思っている)ので、どんなに赤字だろうと飛ばし続けると思っています。仮になくなってしまったところで、また新たに航空会社ができるだけでしょう。
さて、ANA側が提携に回ったということは、JALとしても指をくわえて見ているだけではいけなくなるでしょう。JALは、経営破綻したときまで自社でイタリア直行便を運航していたのです。週7便のうち、4便がローマ線、3便がミラノ線という形で日本からの直行便を運航していました。しかし、ヨーロッパの路線としてはアムステルダム線と同時に撤退してしまいます。観光需要メインでは採算がとりにくいということの証左でもあります。アムステルダムについては、どちらかというと乗り継ぎ需要のためだとは思いますが本拠地とするKLMオランダ航空が強すぎてとても太刀打ちできなかったのでしょう。
撤退した路線の中では、イタリア線はどちらかというと再開の見込みがありそうな路線ではあります。というのも、撤退後も臨時のチャーター便として座席を販売したことがあるからです。観光需要メインですから、夏期のみ運航といった可能性もありえると思います。かつて手中に収めていたイタリアの地がただただANAに持っていかれるだけでは終わらなくなりそうです。
現時点でJALでイタリア行きの航空券を買おうとすると、ローマやミラノのような大都市であればヘルシンキ経由、それ以外ではだいたいロンドン経由で買うことになります。中にはイベリアのマドリード経由というのも出てきましたが、所要時間が長すぎて気が遠くなるでしょう(それでも中東経由よりは短いとは思いますが)。
ANA擁するスターアライアンスはヨーロッパではルフトハンザを中心にドイツ、スイス、オーストリアというドイツ語圏が主な勢力範囲であるのに対し、JAL擁するワンワールドはイギリス、スペインそしてフィンランドとスカイチームに及ぶほどの勢力を広げています。ワンワールドとしては既存のネットワークでもイタリアを収められないわけではありませんが、JAL直行便が復活すれば我々日本在住者としてはより強固なものとなるでしょう。経営破綻した時代と違い、今ではボーイング787という運航効率の良い機材が誕生しています。実際チャーター便は787で運航されたようですし、同機での復活を望みたいものですね。
えっ、ANAの話じゃないのかって?同社のコードシェア開始にかこつけてJALのイタリア線復活を希望しているだけの記事なのでした。