客車列車とハイケンスのセレナーデ

真っ青な車体が夜の町に溶け込んでいた寝台列車ももうすっかり過去のものに……。

いわゆる「ブルートレイン」と呼ばれていた、青い車両が特徴的な寝台列車が完全に姿を消して、もう2年が経とうとしています。なくなった2016年の時点ですでに風前の灯でしたが、最後のとどめを刺したのは青函トンネルの新幹線対応によるものでした。新幹線は毎日深夜になると線路整備を行っており、夜中に走らせられなくなったため(走れる時間帯も貨物列車でいっぱいのため)車両の老朽化もあいまって廃止されてしまいました。

夜行列車の廃止にはだいたい「車両の老朽化」という問題がつきものなのですが、そもそも需要があって売れていれば老朽化したところで新しい車両を作るはずです。山手線の車両が老朽化したからといって山手線が廃止されはしません。新車が投入されます。夜行列車がそうならなかったのは、売れてないからでしかありません。

今ではサンライズしか残っていません。電車寝台がもうちょっと広まっていればなぁ、と思うところもありますが、残念ながら私が新しい夜行列車を走らせられるわけではないので記憶をたどることしかできません。私が鉄道旅行を始めたとき、既に夜行列車はだいぶ減っていましたがそれでも2018年の今に比べればだいぶ残っていました。

振り返ってみると、寝台列車は西方面ではなは、あかつき、富士、はやぶさ、北方面では日本海、きたぐに、北陸、あけぼの、北斗星、カシオペア、トワイライトエクスプレス、そして東京と大阪を結ぶ急行の「銀河」がありました。寝台列車のうちに数えることは少ないですが、北海道の「まりも」にも寝台車がありましたね。私が乗ったことがあるのは、なは、あかつき、きたぐに、北陸、あけぼのぐらいですかね。きたぐには寝台ではなく座席車でしたが。

きたぐには583系の電車で、カシオペアは新型客車でしたが、あとはいわゆるブルートレインでした(トワイライトエクスプレスは緑でしたけどね)。古くてぼろぼろでしたが、今となってはあの雰囲気はもう味わえなくなってしまいました。よく言われている「ペラペラの紙コップ」もありましたね。

なはあかつきと銀河は同日に廃止されたのですが、最終日に大阪駅まで見に行きました。そのときの様子をニコニコ動画にアップロードしたのですが……今振り返ってみると、最終日のあかつきは長崎行きではなく鳥栖行きだったんでしたね。「鳥栖」の方向幕も用意されていました(元から仕込まれていたものだと思います)。長崎行きあかつきは現川で特急かもめに抜かれるダイヤだったのですが、改正されたダイヤには抜かれる設定がされていないため長崎まで行かずに鳥栖で打ち切られたのです。ダイヤ改正前日に出発した寝台列車は翌日には新しいダイヤを走らなければいけないのです。

今もし銀河が残っていれば、東京から大阪まで帰るのに使っていたでしょうね。新幹線よりは使っていたと思います。といっても急行料金+寝台料金が新幹線の特急料金より高いのが結構痛いのですが。高かったからなくなっちゃったんでしょうね……。

ところで、寝台列車と聞いて思い出すのが「ハイケンスのセレナーデ」という曲です。客車の車内チャイムとして使われていました。オランダ人のハイケンスという人が作った曲ですが、この曲以外ほとんど知られていないようで、オランダ語版のウィキペディアにもほとんど内容がなくわざわざ日本の列車で使われていたと書かれているくらいです。本国でもほとんど情報がないのになぜか日本の鉄道好きに知られているという……。車内チャイムでは通常版と高音版がありました。

 

廃止少し前の「あけぼの」で青森発車時に録ったものです。冒頭に流れるチャイムが「ハイケンスのセレナーデ」です。これは通常版ですね。

この長ったらしい停車駅放送も長距離夜行列車ならではだなぁと思わされます。あぁ、また24系のB寝台に乗りたい……。個室ソロじゃなくて開放B寝台に乗りたいんです。開放B寝台自体2回しか乗ったことがありませんでしたが、あの雰囲気が好きでした。似たような雰囲気はロシアに行けばいくらでも味わえますが、あの青い車両で味わいたい……。

このあけぼののアナウンス、わざわざ新青森で新幹線への乗り換えを案内しているのが笑えますね。そのような使い方をした人は1人もいないといっても過言ではないのでしょうか。寝台券は1駅でも6300円(2014年の増税前)なので運賃と特急料金を合わせて青森~新青森だけでも1万円近くかかります。大阪~新大阪でトワイライトエクスプレスを使うのと同じですね。ただ、あけぼのにはヒルネ利用といって、上りの場合羽後本荘までは寝台券なしの特急券だけで乗れました(そのこともアナウンスで触れられています)。ヒルネ利用も東京~九州方面なんかで見かけましたが(岩国以西で利用可など)、もう忘れられつつありますね。

車両自体がなくなっているので、もはやリバイバル列車すら走らせることもできません。JR東海なんかは機関車を全廃して運転要員もいなくなってしまいましたからね(免許は電車も電気機関車も同じですが)。写真もほとんど撮っていないので、記憶の中にしかありませんが、もし今走っていて旅費がいくらでも使える状況だったら……きっとすぐにでも乗りに行ったことでしょう。

ちなみに、ハイケンスのセレナーデはスーパー白鳥用で使われていたJR北海道の789系でも別バージョンが流されていました。今はライラックになりましたが、多分聞けないと思います。客車列車も皆無になってしまったので、もう聞けない……と思いきや、もしやと思って調べてみると東武のSL「大樹」で聞けるようです。元々JRの車両だった14系客車だからこそのチャイムです。まぁ寝台ではなく座席車なのですが。寝台を味わいたいならいわゆる「列車ホテル」へ、チャイムを聞きたければ「SL大樹」へということですね!

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