JR北海道 – 札沼線(北海道医療大学・新十津川間の新しい交通体系の提案内容について)
http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2018/180216-2.pdf
2月16日、JR北海道はこのような声明を発表しました。早い話、「新しい交通体系」というのはつまり「バス」のことで、既に夕張でやっているものと同じものです。
特に北海道各線で駅廃止や本数減となった2016年3月の改正以降、浦臼~新十津川間の運転本数は3日3往復から1往復となり、そのことでも有名になりました。前日をもって1日1往復しかとまらなかった上白滝が廃止されたわけですが、代わりというわけでもないですが浦臼以北の鶴沼、於札内、南下徳富、下徳富、新十津川の各駅が1日1往復のみの停車となってしまいました。上白滝は通過列車が多くありましたが、こちらはそもそも路線自体の本数が1往復しかありません。
私は駅訪問するときの基準を
・廃止が正式に決まってから行く
・列車で降りて列車に乗ってから「達成」とみなす
ということにしているので、これら5駅を訪問するにはどうやっても5日かかります。せめて2往復でも走っていれば、1日に3駅訪問できるのですが……。
3往復時代でも決して多いとはいえませんが、1往復になることを聞いたときはかなりがっくりしました。一度1往復になったからといって増やそうと思えばいつでも増やせるはずですが、「増やす気がない」と言っているのと同じでした。
そもそもこの新十津川駅の場所と札沼線自体、新十津川~石狩沼田が廃止になった時点で滝川に繋げておくべきだったのですが、今更言っても遅すぎでした。言及するときりがないのですが、あえていうとすれば、もしあなたが海外の鉄道路線図を見ていて、新十津川と滝川のように「すぐ近くにあるのに路線が繋がっていない場所」を見つけたとすれば「どうしてこことここの間は路線が繋がってないの?」と疑問に思うことでしょう。もはや繋がっていないこと自体が不自然な立地でしたが、仮に繋がっていたとしても1日1往復では……。いや、繋がっていればせめて1日5往復ぐらいはあったかもしれませんけどね。
さて、特に気がかりなのは、私は1往復しかない浦臼~新十津川を早々に切るものだと思っていたのですが、非電化区間全て、本数がまだ多めの新十津川~石狩月形~浦臼も全て捨ててしまうということです。
2012年、札沼線のうち特に本数が多かった桑園~北海道医療大学が電化されました。おおむね20分に1本走っている区間で、これまで電化していなかったことが不思議なくらいの路線でした。同時期に、愛知県・JR東海の武豊線も電化しています。
電化当初は架線下の気動車運転もあったのですが、1年ほどして同区間の全ての列車が電車での運転となりました。もちろん北海道医療大学~新十津川は非電化のままなのですが、毎日苗穂の車両基地から回送して送り込んでいます。非電化時代は、送り込み列車は札幌から営業運転してそのまま北海道医療大学以北に直通していましたが、電化後に営業列車は全て電車での運転に切り替えることにしたので回送せざるをえなくなりました。
そんな事情があり、余計に末端区間の「お荷物」感が際立つことになってしまいました。電化区間では短くても3両の列車が来ますが、末端はどの列車も1両運転のディーゼルカーばかり。もちろん本数は少なく利用者はあまりいません。
どういうことかというと、本当に瀕死の浦臼~新十津川だけを廃止にして浦臼まで、あるいは石狩月形までを残したとしても抜本的な解決にはならないということです。そもそも非電化区間を全滅させないことには収支の改善のしようがないのです。
私が11年前に鉄道旅行を始めてから、既にJR北海道からは江差線、留萌本線の末端が失われ、夕張支線も近いうちに姿を消します。日高本線も大半は実質廃線状態で、そういったこれまでのことを踏まえると、もはや札沼線非電化区間が生き残れる理由はなにもありません。沿線自治体も事情ははっきりわかっていますから拒否することもないでしょうし、なにより、バス転換して本数が増えた方が便利ですからね。
私は単なる鉄道好きですから、なくなることはとても悲しいです。ですが、悲しいからといって残せるわけではないのです。私が毎年何億円も出して支えられるわけでもないですしね。道の支援も今後進められていくことにはなると思いますが、全ての路線を支援できるわけではありません。北海道には札沼北線なんかよりももっともっと残すべき路線があります。そういった路線をなるべく長く生き残らせるためにも、枝葉は切り落としていかなければならないというのも事実です。
とにかく、およそ5年以内には間違いなく廃止されていることと思います。どんなに遅くても、7~8年後には失われているでしょう。正式に決まれば、また北海道に足を運んで各駅を訪問することになります。まだ夕張支線の全駅乗下車もやってないですけどね。あそこはそれなりに本数があるので1日もあれば終わってしまいますが、札沼北線はそうはいきません。5日がかりですからね。せめて、廃止が正式に決まってから実際に廃止されるまでの1年間は毎日2往復か3往復に増発してくれれば、と思うのですが直前まで臨時列車はないかもしれません。
私の力では、失われる鉄路を維持することはできません。できることは、生きている間に乗って、この目に焼き付けておくことぐらいしかありません。またいつか、北海道で鉄道が栄える日を夢見て。