四国を駆け抜けた”TSE”2000系気動車が引退に

JR四国のフラグシップ車両といっても過言ではない2000系特急型気動車の試作車編成「TSE」が、3月のダイヤ改正を以って引退するようです。

http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2018%2002%2026%2003.pdf

JR各社合同でカレンダーやオレンジカード(今はなくなりましたが)などが販売されるとき、各社の代表車両の「顔」が載せられることがよくあります。たとえば、少し前の時代であればJR東海は700系新幹線、JR西日本は500系新幹線、JR東日本はE2系新幹線、といった具合です。今では各社が新幹線を保有ししかも直通運転のため会社同士で車両が共通設計となってしまったため、東海、西日本、九州はN700系、東日本、北海道はE5・H5系というなんとも面白みのない絵面になってしまいました。

そんな中逆に目立ってしまっているのが、新幹線を持たないJR四国。新幹線車両がないため、代表車両は在来線車両なのです。少し前までは北海道も同じ状況でしたが、北海道新幹線開業によってついに四国だけが取り残されてしまいました。一応瀬戸大橋は新幹線が通れる設計にはなっていますが、今のところ四国の整備新幹線計画で実際に建設が決まっているものは何もありません……。

というわけで、今四国の代表車両といえば8600系特急型電車が使われることが多いようです。2600系の方が少しだけ新しいですが、気動車だからか、数編成の製造だけで打ち切られることになったからか、8600系の方が顔として登場することが多いように思います。

8600系が登場するまでは、「いしづち」や「しおかぜ」の8000系が四国の顔でした。松山方面への予讃線は電化されているためこの電車特急が使われています。一方高知方面への土讃線は非電化ですが、そこで使われている「南風」「しまんと」用の2000系も気動車ながら顔として登場することが多い車両でした。

JR四国にとって、2000系は非常に重要な車両でした。思い入れのある車両だったともいえるでしょう。というのも、2000系気動車は世界で初めて振り子式車体傾斜装置を備えた気動車だったのです。振り子車両自体は381系に代表されるように国鉄時代から走っていましたが、気動車への振り子装置の搭載は困難だと考えられていたのです。

JR四国は経営基盤が非常に弱く、またどの路線もカーブが非常に多くなかなか速度が出せないのです。高速道路と対抗するには高速を出せる特急型気動車の開発が必至でした。この2000系がなければ、四国の路線網はほとんど廃止になっていたかもしれません。ちなみに2000系が登場したあとJR北海道も振り子式気動車(281系)を開発しますが、ただでさえ難しいと思われていた振り子式気動車に加えて耐寒耐雪設備を載せることになった難開発だというのはまた別のお話。

そんな2000系の中でも特に目立つ存在だったのが、試作車両です。完全新規開発の鉄道車両は試作車としてある程度試運転期間をおいてから量産されることが普通です。たとえば901系(のちの209系)だとか、735系だとか、最近だと試運転での習熟が足りず営業開始直後に問題を起こしたE235系もそうですね。

そしてこの2000系試作車、見た目的にもかなり特徴的なのです。量産が決まるにあたってデザインが少し変更され、試作車が異色を放つものになる、ということはときどきあります。秋田新幹線用のE3系なんかがそうでしたね。2000系試作車には「TSE」という愛称がつけられていて、車両前面にもでかでかと書かれているのです。なんでも「Trans Shikoku Experimental」の頭文字だそうで、まさにJR四国の命運をかけた車両だったことがうかがえます。

2000系が量産されたあとも、今日まで量産車に交じって運用されてきました。しかし後継気動車が製作されることになり2000系自体が30年近く経過し老朽化が進んでいるため置き換えが決まりました。2600系が不調に終わったのでまだ少し先のことにはなりますが、試作車のTSE編成は真っ先に廃止されることになったようです。来月のダイヤ改正で運用を外れ、6月・7月の特別運転を最後に完全に引退となることが発表されました。

長らく四国にも行っておらず、縁がない車両なので見たことも撮ったこともないけど乗りに行きたいなぁ……と思って四国に行ったときの写真を見ていたら、ばっちり撮っていました。というか、乗ってました。内子線を乗車したときに伊予市から伊予大洲まで特急を使ったのですが、そのときの車両がTSE車両だったようです。しかも四国の乗車はほとんど18きっぷで特急は全然使わなかったため、かえってほかの量産車の写真の方が少ないぐらいでした。

こちらがそのTSE車両。独特の外観が目をひきますね。

TSE車両は3両編成なのですが、反対側は見た目が全く異なります。こんな写真しかなくてすみません。

ちなみに、ほかの2000系量産車はこんな感じです。量産車にもこの切妻タイプの先頭車両と、流線形タイプの先頭車両の2種類があります。

ところで、四国には2000系よりも古い185系がまだ走っているんですがそっちはどうなるんでしょうかね?

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