JAL41便はパリからロンドンへ、懐かしのパリ線時代

2010年、経営破綻によって大幅に路線が縮小された日本航空(JAL)ですが、いわゆる「8.10ペーパー」の期限が切れるのと前後して、いくらか路線を取り戻しつつあります。とはいっても、4月に社長が交代するわけですが急に拡大するわけではないことが示されています。同じ轍を踏まないよう、採算重視の方向性は保つようです。

かつてはローマ、ミラノ、アムステルダム、サンパウロといった就航地がありましたが、もうすっかり過去のものに。その一方で、経営破綻後にヘルシンキに就航しています。

昨年4月、羽田~ニューヨーク線が新規就航しました。しかしこれはダブルデイリーだった成田~ニューヨーク線のうち1便/日を成田から羽田に移したもので、純増というわけではありません。代わって羽田~ホノルル線が成田発着に変更されました。

そして、2017年10月29日、羽田~ロンドン線が増便されました。便名はJL041/042便。羽田発が2時45分と極めて遅い時間帯なのが特徴です。昼間の羽田空港は既に増便の余地がないほど逼迫しているので、このような深夜帯にしか増発できないのですが、逆に言えば時間を選ばなければ増発もできたということです。こちらは成田からの移管ではなく完全な増便。元々JALは成田~ロンドン線は飛ばしていません(ブリティッシュエアウェイズとのコードシェア便のみ)。

このJAL41便、特徴的なのが座席クラスに関わらずサクララウンジを使用できるという点。エコノミー搭乗者の場合全てのサービスを利用できるというわけではありませんが、使用できるようになった背景には、1回目の機内食を省略するという事情があります。あまりにも遅い時間のため、搭乗者は搭乗前にラウンジで食事をすることとし、機内での食事は基本的に到着前の朝食のみに限られています。この時間帯に出発する便がほかになく、ラウンジがすいているということもあります。

実はこのJAL41便という便名、かつて羽田~パリ線に使われていました。パリ線時代、私も乗ったことがあります。というか、私が初めて一人で海外に行ったとき、初めてヨーロッパに行ったとき、初めてJALの国際線に乗ったときに利用したのがこのJAL41便でした。

パリ線時代のJAL41/42便が就航したのは、2010年10月31日。JALが破綻した年ですが、この年は羽田空港が再国際化した年でもありました。再国際化と同時に、このパリ線もできています。時刻はパリ行きの41便が羽田1:30発のシャルルドゴール6:20着、東京行きの42便がシャルルドゴール11:00発の羽田6:55着。成田空港と違って24時間運用が可能な羽田空港だからこそ実現できた時間設定でした。

しかし、この便は2014年に運休してしまいます。2014年3月30日からJALはこの深夜のパリ線から撤退します。代わって、JL045/046便となり、時刻はパリ行きが羽田10:35発、東京行きが羽田15:55着という、ほかのヨーロッパ線とさして変わりのない時間帯での運行となり、これは今でも続いています。ロンドン線ほどではないですが元々幹線のパリ線ですから、誰もが利用しやすい、ある意味”ふつうの”時間帯に変更された形となります。けれどこの変更当初は、深夜便も別の手段で利用が可能でした。

こちらも今でも運行していますが、フランスの航空会社・エールフランスが、41便と似たような時間帯での羽田~パリ線の運航を開始したのです。それがAF293/294便。2018年1月現在の時刻で、羽田発が23:50となっています。当初はこのAF293/294便に対してJALがコードシェアを実施しており、JAL便としても利用できたのです。

しかしその後、JALとエールフランスの提携関係そのものが終了してしまいました。元々繋がりの深かったJALとAFですが、世界全体の傾向としてアライアンス同士の関係をより重視するようになり、JALはワンワールド、AFはスカイチームと別のアライアンスだったため、2015年3月29日からコードシェア扱いを終了しました(コードシェアをしなくなったのは日本~フランス線で、フランスからヨーロッパ各地への路線では続いています)。

そのことを思うと、ロンドン線が増便されたのは自然な流れだったのかもしれません。イギリスのフラッグキャリア・ブリティッシュエアウェイズはJALと同じワンワールドの一員だからです。羽田出発時刻はパリ線時代より1時間以上も遅くなってしまいましたが、イギリスとフランスには1時間の時差があるので現地到着時刻はパリ線時代と変わらず6時台。ちなみに、イギリスやフランスを含めたヨーロッパ諸国では夏時間を実施しているため、サマータイム期間中は日本側の出発時刻が1時間前後早くなります。

初めて一人で海外に行ったときに利用したのがまだ真新しかった頃の羽田空港国際線ターミナルで、モノレールの駅からしても新設されるほどのきらびやかな空間だったものですから、今でも海外への出発の際羽田空港を利用するというのは凄く憧れを感じます。成田の方がいかにも旅するぞーという感じなのですが、羽田には近未来的な空間が広がっているように思えるんですね。一方帰りはやはり成田に対する安心感があります。まだあそこは千葉なものですから(笑)、東京の喧騒にいきなり巻き込まれずに済みます。とは言っても、羽田には羽田で私の好物のA380が就航できないという弱点も抱えているのですが……。

週末は深夜便で羽田を発つ、そんなゴージャスな生活を送ってみたいものですね。

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